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大きな結晶を単体でほしいな

ビスマス結晶づくりには慣れたかな?
一緒に大きな結晶を作ろう!
初級編、中級編と結晶を作ってきたあなたは、ビスマスの取り扱いに慣れてきたのではないでしょうか?今回は大きな結晶を単体で取り出す方法を紹介します。作業に慣れてくると気が緩んでミスが発生しやすいので、注意しながら作業にあたってくださいね。

大きなビスマスを単体で取り出す方法が分かります。
ビスマス結晶制作編の初級、中級にトライした方。
作業の前に
ビスマスを融かすには約270℃という高温が必要になります。油で揚げ物を行うよりもはるかに危険と考えてください。安全と保護具に関する記事をまだ読まれていない方は必ず目を通してから作業を行ってくださいね。
実際に作ってみよう!
今回は中級編と同じようにビスマスが固まる過程で、まだ融け残っている部分を流し出して結晶を取り出す方法を紹介します。中級編よりも大きな容器で使用するビスマスの量を増やし、容器に残った結晶を採取します。
ビスマスを融かそう!
今回は180mlのプリンカップを使用します。1.4㎏程ビスマスがあれば、カップの8割くらいを融かしたビスマスで満たすことができると思います。それ以上はこぼれる恐れがあるので、入れないようにしてくださいね。

ビスマスをカップに入れたら加熱をしてビスマスを融かします。


融けたら加熱を止め、酸化被膜を取り除く工程に入ります。
結晶を成長させる
酸化被膜を取り除く
ビスマスが融けたら、加熱を止め表面の酸化被膜を取り除きます。融けたビスマスの表面に浮いたパサパサした灰色の膜をすくい取りましょう。

すくってもすくっても表面には新たな酸化ビスマスが形成されます。1、2回すくえば表面はきれいになるので、何回もすくう必要はありません。
静置する
加熱が終わり、表面の酸化被膜を取り除いたら振動を与えないように静置しましょう。
上の写真のようにステンレス容器をかぶせて保温し、冷却スピードを遅くする方法もあります。いろいろ工夫して、結晶が大きくなる条件を探ってみてください。
冷えてくると表面が固まり、黒い部分が増えてきます。内部の様子は見えないですが、表面の裏側やカップの底、壁面も固まりながら結晶が成長していきます。表面すべてが固まってしまうと内部の融けたビスマスを流し出せなくなるので、黒い部分が表面を覆いつくす前に次の工程に移りましょう。

融け残ったビスマスを流し出す
表面がすべて固まる前にビスマスを流し出します。ビスマスを受けるカップを用意してください。ウォーターポンププライヤーでカップのふちをつかみ融け残ったビスマスを流し出します。

融けたビスマスが残らないように、流し出しながら徐々に角度をつけていきます。最終的に下の写真のようにほぼひっくり返った状態にし、融けたビスマスを流し切ります。プリンカップが落下しないようにウォーターポンププライヤーをしっかりと掴んでください。

融けたビスマスを流し切ったら冷めるまで放置します。冷えるまでの時間をコントロールすることで、結晶の色が変化します。
カップから取り出す
隙間から出来上がった結晶が見えますね。この結晶を壊さないように取り出しましょう。

十分にビスマスが冷めたらカップから結晶を取り出します。しっかりとカップに密着しているため、プラスチックハンマーを使って結晶が壊れないように慎重に取り出します。叩く場所にもコツがあります。むやみにたたいてもカップから取り出せません。
肝心の叩く場所ですが、上の写真のようにカップのふちを「内側から」叩くようにしてください。カップを回しながら、外れるまで根気よくかつ丁寧に叩きましょう。また、うっかり自分の手をたたいても怪我を低減するために手袋をはめて叩きましょう。
結晶を取り出す

カップから外れたら融けたビスマスを流し出してできたふちをペンチで広げていきます。ペンチでビスマスを剥ぎ取ると、断面が鋭利になりますので、必ず手袋を着用しましょう。
今回できた結晶は逆ピラミッド型になっていて底面との接合部が小さいので、指で押して採取が可能です。接合部が大きな場合は地道にペンチを使って割り出すか、糸のこで切り出します。または、運任せにはなりますが、金づちで叩き割る方法もあります。
結晶の中の結晶を触れるくらいまでふちを剥ぎ取ったら、軽い力で結晶を揺らしてみてください。接合部が小さい場合はミシミシと音を立てながら揺れるはずです。そのまま揺らしていけばポロっと結晶が外れます。

うまくいけば上の写真のように結晶を採用できます。ビスマス特有の階段形状が見て取れますね。ちなみに左側の尖った部分がカップの底にくっついていた部分です。
結晶の色ですが、薄い水色になっているのが分かるでしょうか?中級編の結晶は濃い青色でしたね。結晶が冷える時間によって紫、紺、青、水色、黄色、ピンク、緑と色は変化します。中級編で使用したビスマスよりも多い量のビスマスを使用したため、冷えるのに時間がかかり、水色になりました。
このようにある程度結晶の色はコントロールができます。機会があったら、色の付け方についても紹介をしたいと思います。

まとめ
- 融け残ったビスマスを流し出す方法です。
- 中級編よりも大きな容器で作製するため大きな結晶を取り出せます。
- 結晶が冷えるスピードをコントロールすることで得られる結晶の色が変わります。
大きな結晶は採取できましたか?ビスマス結晶の作り方の紹介はこちらの上級編で終了となります。なかなかうまくできない…という方は、加熱する時間を変えてみたり、冷却する温度を変えてみたり、いろいろと工夫をしてチャレンジしてみてくださいね。