そもそもビスマスってなんだ…?

そもそもビスマスって何なんでしょうかね?いろんな形になったり、色になったり。そこで、ビスマスについて少し書いていきたいと思います。
どうやって作ってる?
よく画像で見る虹色で渦巻き模様が特徴のビスマス結晶は、人工的に作られたものになります。
初めて見た方にはよく「どうやって削り出したの?」とか「色すごい綺麗だけど塗ったの?」なんて聞かれます。人工的に作るといっても、決して物理的な加工をしているわけではないんですよ。

ビスマスチップやインゴットといわれる金属の塊を融かし、冷やす過程で自然と結晶が出来上がります。自然にできるという点では、塩の結晶をイメージするとわかりやすいかもしれません。塩の結晶も自分で形を整えないですもんね。
できるまでの流れを見てみよう!
「ビスマスチップ」や「ビスマスのインゴット」という金属の塊を融かして作ります。融かすビスマスの量や冷却の時間によって結晶の大きさが変わります。
ちょっと何を言ってるかわからない。。。というあなた!「百聞は一見に如かず」ということで、写真付きでサクッとみていきましょう。
↓これが
↓こうなって
↓こうなります。
「いやいや、あっさりしすぎでしょ!」って方、別の記事で詳しく説明しますので安心してくださいね。
ビスマスの特徴
色について
特徴的な色はビスマス自体の色ではなく、表面の酸化被膜によるもので、構造色と言われるものになります。CDやシャボン玉と同じで光の干渉により色がついて見えます。実際、酸化被膜を酸で除去した結晶は銀色となります。
酸化被膜の厚さの違いにより、青やピンク、黄色、緑色など様々な色となります。ちょうど下の写真のビスマスは紺、青、黄色、ピンク、緑ときれいなグラデーションになっているのが分かると思います。作るの難しいんですよ…

ビスマスの物性について
融点約271℃、密度約9.8g/㎤となっています。鉄の融点1538℃、アルミの融点660℃に比較すると非常に低い融点となっており、家庭のガスコンロでも簡単に溶かすことができます。簡単とは言いましたが、かなりの高温になりますので取り扱いには注意してください。
密度に関しては水の10倍となっており、ビスマスを融かしてカップ一杯満たしただけで、2kgの重さにもなります。大きな結晶を作ろうとすれば、10㎏近い重さのビスマスを融かす必要があります。
得られる結晶の大きさと融かすビスマスの量の話はまた今度別の記事にしようと思います。
ビスマスの安全性は?
家庭で金属を融かしても大丈夫なの…?という心配があるかもしれません。結論から言いますとビスマス自体に毒性はありません。
下の周期表の右下のほうに「Bi」の表記があるを見つけられましたか?

水・兵・リー・ベと呪文のように唱えて覚えた方もいらっしゃるでしょう。でも大体20番目のカルシウムまでで、終わった方が多いのではないのでしょうか?
ビスマスはずっとずっと先の83番目に位置しています。左隣はよく聞いたことがある「鉛」、右隣りは「ポロニウム」となり、以降すべて放射性同位体となっています。
実はビスマスも長らく安定同位体と思われてきましたが、2003年に精密な測定が行われ、非常に長い半減期【(1.9±0.2)×10 19 年】を持つ放射性同位体であることが分かっています。
ちょうど安定同位体と放射性同位体の狭間にいると言ってもいいでしょう。
Experimental detection of α-particles from the radioactive decay of natural bismuth
Nature volume 422, pages876–878(2003)より
放射性同位体と聞くと危険なイメージがありますが、半減期が非常に長いため、毒性はありません。毒性がないどころか、次硝酸ビスマスという化合物は整腸薬として用いられています。
安心してビスマス結晶作りが出来ますね。